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Dream Kiss~それぞれのバレンタイン~

第8章 苦想~奏華編~

 先生と出会うまで、恋がこんなに辛くて苦しいとは思っていなかった。

 街中で見かける恋人達、それを見るといたたまれない気持ちになる。

 どうして? どうしてあたしには誰もいないの?

 先生、生徒のあたしじゃ一番になれませんか。

 先生との放課後のセッション、それが唯一の楽しみでした。

 あの時、見かけた先生と彼女の笑い合う姿。あたしに入る隙はなかった。

 噴水のある時計台。あたしはベースを抱きしめ涙を流してた。

 すると不意に肩を叩かれた。あたしは顔をあげる。

「琉依(ルイ)?」

 同じバンドの琉依だった。

「奏華(シンカ)泣いてんの?この前は、酷いこと言ってごめんな」

 琉依はあたしに謝った。

「いいよね……琉依は。彬と幸せで」

 あたしは皮肉混じりに言った。

「今、悩んでる。彬じゃないある人に心傾いてるんだ」


 初めて聞いた話。また一つ、歯車の周り方が変わろうとしていた。


End

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