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Dream Kiss~それぞれのバレンタイン~

第12章 甘いだけじゃないチョコレート

 高級な下着、高級なブティック、高級なチョコレート。あれからどれくらいの時間が過ぎただろう。気づけば、かなりの月日が流れた。もうそういうのが似合う年齢で。だけど、苺は逆の道をいく。高級なデパコスよりも、おもちゃみたいな可愛いプチプラコスメのほうが好き。同じ高いものを買うならフリルがたっぷりなロリィタ服がいい。

 世間はバレンタイン。デパートの中では特設コーナーに人混み。あれからDream Kissも色々あった。熱愛報道に破局報道。苺は告白こそされることは多くあったものの浮わついた報道など何もない。こないだのバレンタイン特集で聞かれた。

「今まで目立った報道のない苺さんですが、好きな人はいないんですか?」

「苺の好きな人は、ファンの皆様なので、今は恋愛なんて考えられません!」

 笑顔で嘘をついた。だって私の好きな人は--。

「もう恋愛なんていいや。振り回されることに疲れた」

 彬さんと別れてから、彼女は言った。そう私の好きな人は、かっこよくて優しくて、時に可愛くて、弱い--琉依さん。

 いつ好きになったかなんて分からない。気づいたら好きになっていた。大人になった私。だけど未だに変わらない呼び方。

 バレンタイン会場。奏華さん、琉依さんとチョコレートを見て回る。

「琉依お姉ちゃんは、チョコレート何がいい?」

「うーん、あたしは、苺が作ったいちごチョコレートが一番好きかな!」

 ほら、そうやって笑顔でそういうことを言う。違うって分かっているのに期待してしまう。いつもそう思ってしまうけれど。

 まだ……もう少しだけ、もう少しだけ--

 貴女を好きでいさせて下さい。



fin.
 

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