私の熊
第6章 熊さんさようなら
熊さんも私も曖昧に答えようとするんです。
ズバッと、が、なかなか言えない。
それを分かっていながらも、熊さんにちゃんと言ってほしいと私は無茶な事を言っている。
「ほんとに?ズバッと言っちゃうよ?」
「うん」
それでもいいよ?と、頷いた。
すると熊さんは、はぁ。と溜め息を吐いた。
「かなこはさ、このままずっとこうして話してるの?...んーと、このまま会うことの出来ない人とずっと一緒にいるの?」
心臓の辺りがドクンとなった。
「...働いてお金貯まれば会いに行けるよ?」
「会いに来るだけじゃだめなんだよ?」
「なんで...?」
「それは...僕がいやだから。会いに来るならこっちで一緒に住んでほしい」
唐突に難しい話になって混乱した。
試されている気がした。