私の熊
第6章 熊さんさようなら
どうしよ
どうしよ
取り敢えず何か聞かないと。
そう思ってはいるけど声が出ない状態だった。
声を発すると、泣いている事が熊さんにバレてしまうから。
「ちょっと待ってね」
「ん?かなこ?」
少し待っていてと声を掛けてから通話をミュートにした。
思いっきり鼻をすすった。
耐えろ。そう言い聞かせて目元をゴシゴシし、ミュートを解いた。
「ごめんね?」
「ん!」
「熊さんはさ...」
「ん?」
「もう話さなくていいの?」
「まあまあ、そうするしかないでしょう?」
なんでそうするしかないの?と、熊さんに聞いた。
熊さんの中には選択肢と言うものがないんだなと思った。
もう捨ててるのかなと思った。
それだけ私は自分の事で1杯だったんでしょうか。
どんな返答来ても
それに対して、私はどうして?と聞くばかり。
すごい、考え方が私とは全く違うもので、大人だなとまたもや思い知らされたんです。