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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第8章 偉大な人に会うも、横道に逸れるあの頃

 さて、いよいよ僕の番。


 緊張と一緒に、悶々とした気持ちがごちゃまぜになってさ。


 あの、中学の頃、大会に出たネタをしようと思った。


 シャツを着るネタ。そこから、リングをやって、首に剣を刺すってのをやろうと思った。


 後は、トークネタで、時間を稼ごう。



 だが、半身を隠す場所がない。ステージが円形なんだ。


 初めっから、シャツを着るはめに。


 BGMが流れる。


 実は、BGMのカセットを忘れて、舞台で流してる音楽を借りることに。


 よくある、ポールモーリアの曲。手品する時の曲で、頭に浮かぶあの音楽あるでしょ。


 オリーブの首飾りだったかな?


 あれって、よく聞かれるけど、プロマジシャンで使っている人、ほとんどいないんですよ。


 まあ、それはいいとして、僕がマジックをはじめると、お客さんは退屈そうにしている。


 そりゃそうだよな。女の裸を見に来ているんだ。


 いや、そう思って、剣を刺すマジックを持ってきたんだ。


 だが、突き刺すような視線を浴びて、自分が切られた。


「お客さまのどなたかお一人に、ご協力を願いたいんですが、協力していただける方!!」


 誰も手を上げない。


 まあ、そうなるだろう。


「えっとですね、こちらのステージの上には、踊り子さんの汗ですかねぇ……それとも、いやらしいお汁ですかねぇ……したたり落ちてるんですが、はい、この上に上がりたい人!!」



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