テキストサイズ

奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第8章 偉大な人に会うも、横道に逸れるあの頃

 なぜか、三人、手が上がった。


 ステージに落ちてたのは、たぶん、さっき汗だくになってた二人のだろう。使えるものは使え。


 一人に上がってもらったら、床に落ちてる数滴のしずくを指でぬぐって、匂いを嗅いではった。


 いやや、こんなん相手するの〜。  


 その前に、この空気に耐えられなかった僕は、大きなカードを使ったマジックをはじめた。


 剣刺しは、相手の首に輪っかをはめて、そこに剣を刺すってやつだったんだが、こんなやつの首にはめたくない。


 カードマジックでいい。


 だが……。


「次のお姉さんはまだ?」と聞かれ、「これ、終わったら次です」と言った。


「もう終わっていいですよ」


 これはきつかった。


 マジシャンとしての、大事なデビュー、まだ自分の力が無いんだなと実感。


 いや、最初から実感してたけど、このステージはあまりに試練が強すぎた。


 結局、10分足らずでステージを下りた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ