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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第4章 お父さんのお土産と西くんからのプレゼント

 いま思えば、西くんはいいところのお坊ちゃんだったのかもしれない。


 5年生の頃に、たくさん練習して、いろんなマジック道具も買ってもらったらしい。


 よくプロがステージに立つ時に使う、マジック用のテーブルもある。


 本格的だ。


 しかも、小学生マジックのコンテストで入賞していたんだ。トロフィーと賞状があったから。


 もはや、僕のレベルを軽く越えていた。


 敗北感。なんとなく、それを感じていたと思います。


 西くんが僕に言った。


「もう、マジックはやってないの?」


 その時、僕はなにを思ったのか、つい、こう言ったんだ。


「やってない。もう、マジックはやめた」と……。


 西くんは寂しそうな顔をした。


「そっか……」


 たぶん僕は、負けるのが悔しいから、あんなことを言ったんじゃないかと思います。


 西くんは言った。


「僕は玄武くんに追い付きたいと思ったから、ここまで頑張ったのに……」


 どういうこと?


 意味がわからなかった。


 追い付きたいどころか、追い越してるじゃないか。


 あのトロフィーはなんだ?



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