テキストサイズ

家政婦の水戸

第3章 水戸さんのお留守番

『ま゚』


 言われて選んだのが、徹底的なあま噛みだった。


「やめろっ!! 気色悪い!! それに、臭いぞっ!! てか、あんた、刺されてるよね? 刺されてるよねぇっ!?」


 男は水戸さんの腹に刺さったナイフを、引き抜いた。


 ドロッとした、赤茶色の粘液が絡みつく。同時に腐敗臭が鼻につく。


「ぶぅえっ!!」


 激しい嘔吐を口に含み、男はあわてて家を出ていった。


『む゙ぉ(ホッ)』と水戸さんは、胸を撫で下ろした。



 数分後、紗知が帰ってきた。


 水戸さんは、なにやら縫い物をしている。


「ただいま水戸さん。ごめんなさい、一人にして」


『おかえりなさいませ。あ、お食事をなさるなら、お飲み物を』


「いいよ〜、水戸さんお裁縫してて忙しそうだから、2階で食べるよ。水戸さんは?」


『私はお食事はいたしません。すいません、お嬢様にお気を使わせまして……』


「気にしないで。水戸さん、今日の晩御飯、楽しみにしてるよ〜」と言って、紗知は2階に上がった。


『ありがとうございます』


 水戸さんは、自分のお腹の傷を縫いながら、深く頭を下げた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ