愛しの殺人鬼
第1章 ひまわり畑
「ーー、何。セックス痛かったの?」
そして、数十秒時間があいて、男が小さく吹き出した。おかしそうに問われた言葉に思いっきり頷く。
「身を裂かれるかと思いました。さっき死に損なったから貴方に会ったんです、きっと」
「ふーん?」
すると男は何かを考えるように膝に頬杖をついて、何を思ったのかナイフをしまってしまった。
なんの心境の変化なのだろうか。目を瞬きさせて男の行動を見守っていると、
「なんだか君を殺すのが惜しくなった」
至極綺麗な顔でそういうから、思わず見惚れてしまった。
彼は私には黄色が合いそうだと言った。だけど、彼こそ黄色が似合うと思う。華やかで、綺麗で、可憐。
触れられないほど、美しい。
「知りたい?」
「…はい」
すっと頬に手が当てられる。その手は冷たくて、心地がいい。
「教えてあげる。身をもって」
「え…、」
ーーーーーーそして、
彼はそのまま私の唇を奪った。