箱……漆
第1章 妹
「ご遺体の確認をお願いします―――――…」
「う゛――――…ぅ…お゛ぇ」
妹が失踪して…
1年後…
――――…妹は…
屍となり……俺の前に現れた…
御苑生 香(ミソノオカオリ)
20歳―――…いや…
19歳だったかもしれない…
しかし…
俺は、目の前の“遺体”と提示されたモノから発せられた異臭と見た目に…
朝食を…部屋の隅に置かれていた排泄バケツに…吐いていた…
年期の入ったバケツには…あらかじめビニール袋がかぶせてあり…
まるで俺が、吐き出すのを予知していたかのようだった