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君と僕。

第5章 君と僕と男気

「喧嘩?」

教科書をまとめながら文希が問いかけてくる。

「違う。いつも優しいし...僕のことも大切にしてくれてる」

「なら良いんじゃん?何が不満よ」

不満なんて...ものは、ないのだけれども。

「大人の余裕みたいなのがやなんだよ。いっつも俺だけ甘やかされててさ。僕だって男だから...何かしたい」

「ま、分からんでもないがなぁ」

「ご飯だってなんやかんやで奢ってくれるし。料理だって美味いし。デートだって僕が引っ張られてばかりで...」

コツン、と机に額をくっつければ、上から教科書が降ってきた。

「いっっっだっ!!!」

「惚気すぎ。彼女いない童貞を殺す気かよ」

僕も童貞だけど。
くそ、再認識きつい。
あれだけやってて童貞か...。

「ヤることはヤってんだろ?」

「言い方」

「その様子だと夜もあかちん組み敷かれてそうだし。たまには男の意地でも見せれば?」

なるほど。

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