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teardrop (of the child)

第2章 −真友−

成宮と別れた後、松本と美和はまた二人でデートの続きをする。

何だか変な記念日となったが、それなりに楽しく過ごした。


翌日、教室では顔を腫らした倉田がいた。

倉田は都合の悪い部分は一切話さず昨日、急に絡んできた奴と喧嘩したという話をしている。

興味津々に聞いてた奴らが相手はどんな奴だったかと倉田に聞いた。

この辺りでは見たこともない奴で髪を染めていたと倉田は話す。

松本がさり気無く「そいつ、隣の中学に転校してきたばかで俺らと同級生らしいよ。俺、見てたけどスゲー喧嘩強かったよな」と話に割り入って倉田に言った。

倉田は松本に見られてたと知ると、何も言い返す事もなく口ごもる。

佐藤は鼻が折れて情けない面をしていた。

藤沢の事は暫く噂となったが、時期的にも受験シーズンとなり、皆はそんな話に構ってられなくなり忘れ去る。

けれど、松本はずーっと藤沢って男が気になっていた。

日が経つにつれて、成宮が言っていた「悪い奴ではないのかも」と言うのは松本も感じていた。

他人を傷付ける行為は好きじゃないが『もしかしたらアイツは誰かや、何かを守るために傷付ける相手を…』と思った。

『じゃなきゃ、自分の犠牲なんて省みずに勝ち目があるか無いかもわからない一見、不利な喧嘩をわざわざするだろうか?』

松本は考えれば考えるほど、藤沢に興味を抱いていった。


やがて時は過ぎて高校受験を終える。

美和は私立の高校に合格したが松本は母親にあまり負担をかけたくなくて公立の高校を受け、無事に合格。

松本と美和の二人は高校が別々となった。

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