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君の隣

第1章 平凡ーNONA sideー

同じ学部の一個上の先輩を目で追うようになったのは、大学に入学してすぐの事だった。
スラリと伸びた手足、染めてない爽やかな短髪、某ファッション雑誌から飛び出してきたような風貌の彼に一目惚れして、かれこれ1年。


「乃南~~、まーた安浦さんの事見てる」
「だってー、格好良すぎるんだもん」
「乃南って全く行動起こさないよね、見てるだけ。 いいの???それで」


午前の講義が終わり、高校からの親友、杏(きょう)と食堂で話していたらその肩越しに先輩を発見し、うっとりと見つめていた所だった。


「いいの。 どうせ私なんて相手にしてくれる訳ないし。 遠くから見つめてるだけで充分幸せ」
「あんた中学生じゃないんだからさ~~、彼氏になったらいいなーとか思わない訳???」
「だって接点ないし、モテそうだし、私の事なんて絶対知らないし、格好良すぎるし、釣り合わないよ、私なんかと」


先輩に彼女がいるというのを聞いたこともないし、今まで目で追ってる所で女の子と歩いている所もほとんど見たことがない。
でも、私に一歩踏み出す勇気はない…。


午後の講義が終わり、別の授業を取っていた杏が教室に入ってくる。


「あ、あそこで寝てるのgalaxyの及川くんだよね」
「うん、仕事忙しいのかな、始業ギリギリで入ってきたかと思ったらしょっぱなから寝てたけど」
「やっぱ格好良いね~、前見掛けた時と髪型違うね」


そう???と言いながら教室を出る。
同じ大学に『芸能人』がいるってので興奮気味の杏。
やっぱり実物の方が数倍格好良いよねとか、TVより全然イケメンとか、オーラすごいとか、横でずっと言っている。

及川くん、入学時から度々授業一緒になるけど、なんか怖いんだよなぁ…
ピアスあけてるし、ネックレスやらブレスレットやら付けてるし、とにかくなんてゆーか、チャラい。
だから出来るだけ関わらないようにしている。

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