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4月は君のぬくもり

第2章 彼の秘密


私はクラス名簿を開くと、男子から順番に名前を読み上げていった。

「青山一朗(アオヤマイチロウ)君」

「はーい♪」

「神谷ゆう君」

「はいっ」

「里中真守(サトナカマモル)君」

「はい」

「津田晶午(ツダショウゴ)君」

「…」

返事がない。

「津田君、いないのかしら?」

ぐるりと見回すと、窓際の後ろから二番目の席が空いていた。
欠席か…。私は彼の欄にチェックを入れようとした、その時。

ガラッと後ろの扉が開けられた。

「っ」

クラスのみんなが振り返った。


「キャー津田君だー!」

「本物だー!かっこいいー」


何人かの女子が黄色い声を出し始めた。
彼はよっぼど人気があるらしい。

しかし……


「遅れてすいません」


私を見てぶっきらぼうに言うその声。
スラッとした長身に切れ長の涼しい目。


「…っ!!」

私は驚き、固まった。

昨夜、街で私を助けてくれた人だった。

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