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4月は君のぬくもり

第2章 彼の秘密


一瞬、彼以外の風景が消えた気がした。
何で…ここにいるの?
ってか制服着てるし。この教室に入って来たって事は……そうなんだよね?


ええ〜〜っ!生徒!?


彼はそんな私をよそに席を探していたが、すぐに窓際の空いてる席についた。


「津、津田晶午君ね?」

私は心をなんとか落ち着かせ、訊いた。

「はい。そうです」

彼は私服も良かったけど、ブレザーにネクタイの制服姿もさまになっていた。
私の事、気づいたかな?
って気づくにきまってるわよ。

ーーーー

生徒達に何枚かの書類を配り終えると、私は言った。

「では本日はこれで終わりです。明日からは授業が始まるので忘れ物しないように、しましょう」


「「はーい!」」


生徒達はそれぞれ帰り出したり、まだ教室に残って友達とおしゃべりしていたりした。


私はずっと津田晶午の事が気になっていた。彼はまさに帰ろうとしている。


「津田君!ちょっといいかしら…」


私は思わず彼を呼び止めると、生徒の何人かがちらっとこっちを見た。

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