テキストサイズ

おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第51章 【番外編】真夏の出来事(その2)。


「あっ! 王子、見っけぇ!!」

 光の中へ平川さんが身を投じた後、獲物を見つけたと言わんばかりの楽しそうな声が聞こえてくる。川上さんの声だ。平川さんは大丈夫なのだろうか。アタシは祈りを捧げる様に、胸の前で指を組み掌を合わせる。

「大丈夫だよ。無事では済まされないと思うけど……。王子の望みはモリリンが生き残る事だから。だから、頑張ろうな?」

 山岡さんは外の様子に聞き耳を立てながら、アタシに向かってそう言った。アタシがその言葉に頷くと、山岡さんは微笑ながら頷き返してくれる。そして、「行くよ?」と言って、アタシの手を握ると、光の中へと足を進める。アタシは手を引かれながらそれに従った。

 外へ出ると、坂内部長からインカムに通信が入る。どうやら下出は脱落し、本部に戻った様だ。『こうなったら、最後まで生き残れよ』とエールを送られる。それを山岡さんに伝えると、「アイツもモリリンがカワに独占されるのは、面白くないんだろうな」と言って笑った。

 下出が!? まさか! そんな嫉妬みたいな事を? 彼女が居るのに、彼女以外の女の子にまで独占欲を持つなんて、勝手過ぎない?

「あれ? モリリン、知らないの? アイツ、彼女と別れてるよ?」

 アタシが憤慨していると、山岡さんが驚きの言葉を口にした。

「え? 知りませんよ。アイツの女関係なんて。興味ないですし!!」

 アタシが力一杯そう言うと、山岡さんは笑いながら「まぁまぁ」と背中をポンポンと宥める様に叩く。山岡さんの手を背中に感じながら、昨夜の下出とのキスを思い出してしまった。

 戯れる様に口の中を探る舌。アタシの唇を包む下出の唇。お酒臭い、けれど甘い口付け。伏せられた長い睫毛の下で思い浮かべていたのは、別れた彼女? それとも……。

「モリリン? どうした?」

 いけない。そんな事を思い出している場合じゃなかった。山岡さんの声にアタシは我に返ると、首をブンブンと横に振って雑念を振り払う。下出が彼女と別れようが、アタシの知った事ではない。それよりも、今は川上さんの魔の手から逃れる事。自分が生き残る事に集中しなくちゃ! アタシを守ってくれている、山岡さんの為に。そして平川さんの為に。

エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ