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果てない空の向こう側【ARS】

第8章 握る(雅紀)

雛壇に、俺とミッチャンが並んで一礼した。

翔「これより、二人の誓いの式を執り行います。私は、本日司会進行を行います、五十嵐翔でございます。」

ミッチャンのご両親は、次々起こるサプライズに目を白黒させている。

それは、俺の母さんも同じだ。

翔「では、新郎新婦の誓いの言葉です。」

俺はゴクリと息を飲んだ。

ミッチャンを見ると、ニッコリ笑ってうなずいてくれた。

大丈夫、あんなに二人で練習したんだもの。

俺は深呼吸すると、ミッチャンに目で合図をして、二人で話し出した。

雅・ミ「私たちは、楽しい時も苦しい時も
手を取り合い、お互いを信じ、お互いを思いやり、お腹の子とともに幸せになることを誓います。」

無事、噛まずに言えた。

ありきたりな誓いかも知れないけど、二人で一生懸命考えたんだ。

翔「次は、指輪の交換を。」

翔兄の声とともに、智兄が雛壇に進んだ。

ちょっとよれたスーツのポケットから、小さな箱を取り出した。

箱を開けると、中にはシルバーのペアリングが入っていた。

今日のために、智兄が作ってくれたんだ。

俺は小さい方のリングを取り出すと、ミッチャンの左手にそっとはめた。

ミッチャンも、俺の薬指にリングを通してくれた。

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