テキストサイズ

果てない空の向こう側【ARS】

第8章 握る(雅紀)

翔「最後に、誓いのキスを。」

俺とミッチャンは、目を丸くして翔兄を見た。

キスは、予定になかったんだ。

指輪の交換をして誓いの式は終わりで、食事タイムになるはずだった。

翔兄は、黒い笑顔でニヤリと笑った。

翔兄だけじゃない。

智兄も、和也も、潤も、みんなニヤニヤしてこちらを見ている。

雅「はめたな…!」

ミッチャンを見ると、真っ赤になってもじもじしている。

よし、覚悟を決めた。

俺だって、やるときはやるんだからね。

俺はミッチャン肩に手をかけて、こちらを向かせた。

恥ずかしくてうつむいてしまっているミッチャンのおデコに、チュッとキスをした。

驚いて顔を上げたミッチャン。

今度は、そのかわいい唇に唇を重ねた。

ミッチャンも、赤ちゃんも、愛おしくてたまらない。

絶対に、二人の手を離さない。

握った手を、絶対に離さない。

そう決意して…。

和「長いよ、キス!」

和也の野次に、ハッとして唇を離した。

翔兄は、笑いをこらえている。

お義父さんは、目をどんぐりみたいにして、口をあんぐり開けたまま。

しまった、やりすぎた。

俺は頭をかいて、ミッチャンから離れた。

静まりかえった宴会場の空気を破ったのは、お義母さんの拍手だった。

衝撃を受けたお父さんとは裏腹に、お義母さんは微笑んで拍手をしてくれた。

それに続いてみんなが拍手をしてくれて、
誓いの式は祝福の中に終わった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ