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果てない空の向こう側【ARS】

第11章 果てない空の向こう側(智)

和「俺たち兄弟、みんな自立したし、もう智兄が父親役を背負わなくていいよ。」

智「和也…?」

和「まあ、俺が一番自立するのが遅かったから、えらそうには言えないけど。」

智「別に、父親役なんて背負ってねーし。」

和「行きなよ、スペイン。悪いけど見ちゃった。エアメール。」

智「え…?」

俺の引き出しに一杯たまったエアメールの束。

いつもの青いインク、添えられた写真。

和「美大の時の彼女でしょ? 今、スペインのガラス工房で働いているんだって?」

智「ひ、人の手紙、勝手に見る奴があるかあっ!」

和「ごめん…。」

和也の言う通りだった。

美大の時の彼女が、卒業とともにスペインに渡った。

スペインでガラス工芸をするのが彼女の夢だったんだ。

俺は、日本で専攻の彫刻を生かした仕事に進みたかったので、お互いそれぞれの道を歩むことにした。

彼女からは、定期的にエアメールが届くようになった。

初めは俺も返事を書いていたが、彼女がスペインで少しずつ活躍するようになると、日本でくすぶっている自分と比べてしまって、何と返事を書いていいかわからなくなった。

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