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果てない空の向こう側【ARS】

第11章 果てない空の向こう側(智)

和「智兄は、役割を果たしたんだよ。だから、俺たちちゃんと大人になれた。」

智「でも、母さんがひとりになっちまう…。」

和「母さんならひとりでも大丈夫だよ。だって、俺らの母さんだもの。俺も雅紀兄も時々帰って来るし。」

智「でも、翔もベトナムに赴任してるのに、俺まで外国に行ったら…。」

和「翔兄は、定例会議でたまに帰って来るって言ってたよ。何年かしたら日本の本社に戻れるらしいし。」

智「でも…。」

和「でもでもうるさいな〜。」

和也は、コンクリートの地面にごろんと寝転がった。

和「あー、空が青い。見てみなよ。」

俺も、真似して地面に寝転んだ。

高い高い青空に、筋雲がたなびいていた。

和「24時間で地球は一周するんだよ? 半日、その場で宙に浮いてたらスペインだって行けるさ。」

智「そんなことできんのかよ…。」

和也が、俺のポケットに手を突っ込んで煙草を取り出した。

智「おい、何すんだよ。」

和也は一本取り出すと、慣れた手つきで火をつけた。

一服吸い込むと、ふうっと長い息で煙を吐いた。

俺も、一本抜いて火をつけた。

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