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方位磁石の指す方向。

第6章 scene 5.5






「智、」

「ん?」

「ううん、なんでもない」

「えー、なんだよう。」


気になるところで
終わらせるなよう、なんて
唇を尖らせている。

…そういうの、
他のヤツに見せたりしてないだろうな?

そんなこと考えてしまうくらい、
俺は智が好きで好きで。


おかしくなりそうだ。
異常?

いや、智を想う気持ち自体は
普通なんだと思ってる。



「じゃあ、また明日。」

「うん、またね。」

「っ智、あの…
明日、智ん家に行ってもいいかな?」

「…ふふ、いいよ。」


楽しみにしてるよ、って
柔らかいいつもとまったく
変わらない笑みを見せた。


…少しでも離れている時間が惜しい。
それくらい好きだ。

連絡しか、手段がない。


…あーもう。

俺、智のこと溺愛しすぎだ。
わかってるけど、
智が可愛いんだもん。

仕方ねえじゃん?


「今日は楽しかった。
ありがとう」

よし。
これでいい。

どこもおかしくない、よな?


…なんだ俺。

智と付き合うようになってから
随分性格が変わったもんだ。

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