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方位磁石の指す方向。

第9章 scene 8

二宮side



「ええっ…」

「ほら、早くしろよ。」

「でっでも…」

「あー、もう、焦れったい…」


…春休みは、
翔さんちに入り浸ってます。


理由は、

寛げる。
勉強教えてもらえる。
翔さんといちゃいちゃできる。


主に三つ目。


「…ん、」


翔さんは優しいから、
俺にたくさんの愛をくれる。

本格的な、っていうか…

いつかはちゃんと、
そういう行為もしたいな…とは
思っているけど、今はまだ…。


今はまだ、こうして子供っぽいキスを
するだけで、俺達は満たされていた。


「んーっ…」


もう今日何度目かわからないキス。


唇を離すのはあまり好きじゃないけど、
キスしたあとの翔さんの顔は好き。

ちょっとだけ顔に力が入ってて、
目は少しとろんとしてる。


「…お前さぁ、」

「んー?」

「勉強しに来たんじゃねぇの?」

「あっ、あはは…」


読んでいたマンガ雑誌を閉じて、
翔さんの隣へ素早く移動。


「ごめんね?」

「それ何度使ってると思ってんだ。」

「…わかんない。」

「とにかく、俺も勉強したいし…」


キス魔が何を言ってんだ。

なんて思ったけど、
それは秘密。


「…二宮がちゃんと
勉強するって言うなら…
教えてやらなくもないけどよ…」


…ふふ。


「ちゃんとする。
入学式の次の日だっけ?テスト。」

「あー、確かな。」

「じゃあちゃんと勉強するから、
翔さんちこれからも来ていーい?」


甘えた声を出して、
ぎゅーってくっつけば、
「仕方ないな…」って
嬉しそうな声が頭上からした。

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