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方位磁石の指す方向。

第9章 scene 8






あれから3時間ちゃんと勉強して、
今は少しの休憩タイム。


「なー…」

「んー?」

「二宮食べたい(ボソッ)」

「ふぇっ!?」

「ん?」

「え、えへ、あはは…」


聞こえなかったふり…


「もうほんと好きだわー」

「ふふ、俺も大好きだよ。」


やっぱりさっきのは聞き間違えだよ。うん。

翔さんがそんなこと
急に言い出すわけないって。


「二宮、」

「ん?」

「こっち向いて。」

「うん?」


背中に抱きついてた
翔さんの重みが消えて
後ろを振り返れば。

なんだかぴしゃっと正座してる
翔さんがそこにはいて。


「なーに、かしこまって笑」

「あのさ、二宮が高校卒業したら、」

「できるかわかんないよー?笑」

「そこはしろよ笑
んでさ、卒業したらさ、
俺と一緒に暮らして欲しい。」

「……へ…?」

「だから、お前が卒業したら…」

「いや、それはわかった。うん。
…なんで、俺と一緒に暮らすの…?」

「好きだから。」


…単純。


「多分、高校卒業したら俺、
父さんの母校の大学行って
そこから就職だと思う。」

「うん?」

「大学行ってる間は、
仕送りあると思うし、
二宮を満足させることだって
できるとおもう。」

「うん??」


待って。

俺ついていく体で話されてる?


「や、あのー…
俺、ついてく前提…?」

「え?違うの?」


目をぱちくりさせて、
俺を見つめた。

…いやいや。

そりゃ俺にだって家族ってもんがあるし、
一応年頃の男の子だしね?


「まだ、わかんないから…
ついてけるかわかんないよ。」

「でも一応さ?
聞いといてくれる?」

「…うん。」


…俺だって、翔さんと会えなくなるのは
いやだけど…。

この人、話が早すぎて
ついていけないよ…。

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