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方位磁石の指す方向。

第10章 scene 9

櫻井side



桜が綺麗だ。

こんなにも綺麗な桜、
毎年咲いていたっけな…。

今年は一段と、
桜が綺麗だった。


「翔ちゃん、ひさしぶりーっ」


雅紀に抱きつかれ、
智くんにも抱きつかれた。

そんな俺を見て、
二宮が溜め息。

松本は苦笑い。


「…翔さんのえっち…」

「はっ!?
俺何もしてないっ」

「二人に抱きつかれて
でれでれしちゃってさー。」


二宮が不服そうな顔を向けて
耳元で

「俺の翔さんなのに。」

って涙を溜めて言うから。


他の三人がわーわー言ってる。

翔ちゃんが泣かした!
先輩、ダメっすよ。
翔くんが俺の可愛い弟を〜…

とかなんとか。


「泣かせてないし、
そもそもなにもしてないし!

つか雅紀と智くんが
くっついてくるからー!」


…新学期も、
どうせこの面子で
わいわいやるんだろう。


「…んがっ」

「ちょっ。智ぃ〜気を付けてよー」

「だいじょぶ、だいじょぶ。」


智くんは石につまづいてるし…

みんな休みボケしてんなー
なんて思ってた。


「…翔さんのえっち」

「はぁ?何もしてないし〜」

「智のとこ見て笑ってる。
ひどい。もう嫌い。」

「えぇ…」


嫌いとか言いながら、
俺の隣をがっちりキープしてるし、
そもそも嫌いになんてなれないくせに。

でも、拗ねた二宮も可愛いから
このままにしておこう。
(ニヤケ顔)

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