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「ジュノさん！皆さん無事に飛行機に乗られましたよ！」
「名津子。おはよう。」
「おはようじゃありません。起きてください。動けるのバレてますよ。」
「はい…」

俺は起き上がり、名津子が淹れてくれたコーヒーを受け取った。


「せっかくなんで、どこか行きますか？」
「馬には乗らんぞ。」
「歩いて行けるところにします。でも、ガブリエルは連れてっていいですか？」
「ダメ！アイツ、俺のことバカにしてるし！」
「じゃあ二人で行けるところですね。」


俺たちは農場まで歩いて行くことにした。

誰もいないのどかな１本道を名津子の手を取りゆっくりと歩く。
俺は名津子に訊きたかったことをいっぱい訊いた。
外国での生活のこと。家族のこと。仕事のこと。とにかく訊きたかったことすべて。
俺が知らない名津子がいないように、いっぱいいっぱい訊いた。


「恋人はいないの？」
「昨日もミンジュンさんに訊かれましたけど、いません。っていうか、ジュノさん聞いてましたよね？」
「うん。でもミンヒョンには嘘ついたかもしれないじゃん！」
「何でそんな…面倒くさ…」

「じゃあ俺でもいいのかな？」
「ん？何が？」
「恋人。」
「ジュノさん。自分の立場わかってます？トップアイドルがそこらのオバチャンと付き合うリスク。どう考えたってつりあわないですよ？」
「じゃあアイドルじゃないイジュノだったらいいの？」
「ジュノさんがアイドルやめるなんて選択肢持ってるんですか？」
「…」
「ねえジュノさん。人にはね、それぞれギフトっていう使命があるんです。そのギフトを果たすために、ジュノさんはアイドルでいるんじゃないんですか？みんなに夢を与えるっていうギフト。」
「…名津子のギフトは？」
「私？…私は、何なんだろう？まだ見つかってないかな？」
「俺、名津子のギフトが何かわかるよ。」
「何？」
「俺がイジュノでいるっていう意味を教えてくれること。」