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僕の大事な眼鏡さん。

第2章 もしよかったらご飯、食べませんか?

「あんじゅ」でまかないを食べて、帰宅したのが二十一時過ぎ。

 とりあえず、ベッドに腰掛け携帯を弄る。

 昼間、眼鏡さんにもらったメモを取り出して連絡先に登録する。

 さすがに空メールは失礼だから、僕の名前と携帯番号を入れて送る。

 送信している間に、今日の講義のノートを開き赤ペンで要点をまとめる。暫くすると、携帯が鳴りメールが届く。

『こんばんは。佐伯です。メール、ありがとうございます。今からお電話しても構いませんか?』

 メールを見て、驚く。え、今から電話ですか?え、心の準備が…。ど、どうしようか。いや、これは僕から電話するべきでしょう。

 ちょっと、ドキドキしながらかけてみる。

 携帯を持ってる手から、変な汗が出てるよ。

『…もしもし。』

「あ、あっ。あ、の、風間です。秀太です。」

『あ、こんばんは。』

「こんばんは。」

『今、かけようと思ってた所だったの。ちょっと、びっくりしちゃった。』

「いや、ははっ。」

電話かかってくるのを待ってるのが辛かっただけです、はい。

 胸が痛いくらい、ドキドキしている。

「で、昼間話した食事なんですけど。」

『うん。今度の金曜日の夜はどうですか?』

「…えっ、と。じゃあ…。金曜日の夜で。バイト、十九時には上がれますので。」

『はい。私もいつもより、遅いからお店に顔出しますね。』

「はっ、はいっ。」

『じゃあ、細かい時間とかはまたメールします。』

 あ、もうちょっと声を聞きたかったな。携帯からの声もやわらかで、優しい。

「あっ、あの佐伯さん。」

『はい?』

 好きです。

「…いえ。おやすみなさい。」

『はい。おやすみなさい。』

 携帯を切り、暫くぼーっとする。

 はぁ、眼鏡さんの声が耳に残ってる。息づかいや、柔らかい声。また、妄想が始まる。

 ベッドの上でどんな声で喘ぐのかな。哭かせてみたいな。よがらせて、焦らして。ああ、せつなすぎる。

 結局、講義のノートを閉じてベッドに寝転がる。目を閉じて、眼鏡さんを思い浮かべる。

 どこに行こうか。

 本当なら、飲み屋とか行ったらいいんだけど
未成年だし。そこは、ちゃんと煙草もお酒も二十歳から。風間家のお約束。

 眼鏡さんはどんな食べ物が好きかな。

 昼はいつもパスタだから、和食かな。

 などと、気がつけば夢の中。

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