テキストサイズ

僕の大事な眼鏡さん。

第1章 誰か好きな人はいますか?

「美咲先輩…っ。う、あれ?美咲先輩って…。」

 確か、市田先輩とつき合ってなかったっけ?

「…秀太、この事、秘密な。」

 安藤は悪びれる様子もなく、しれっと部室にある冷蔵庫から缶コーヒーを出して飲む。

 美咲先輩も服や髪を整えて、衝立から出てくる。淡い爽やかなワンピースにフワフワのカールした髪。見た目は清楚なお嬢様なのに、二股かぁ。

「安藤君、またね。」

 僕の存在はまるっきり無視され、ドアの前でまたまたイチャイチャしだしている。

 そのまま、無視して眠りにつく。

 と、思いきや別れた安藤がソファに近寄って来る。

 Tシャツを捲られ、冷たい缶コーヒーをお腹に押し付けられる。

「うっひゃぁっ。」

 あまりにも冷たくて、変な声を出して飛び起きる。目の前の安藤はいたずらっ子みたいな顔をして、目を輝かせている。

「あ、あのなー。安藤…なんだよ。」

「…美咲先輩、胸でかいんだぜ。」

 なんだよ。そんな情報いらないし。とりあえず寝かせてほしいんだけど。

「それに、フェラチオ超上手だし。締まりがいいし。」

「…だから、それがどうしたんだよ。」

 チラッ、と安藤を見るとちょっとだけ寂しそうな顔をしてコーヒーを飲む。

「俺はセフレなんだって。」

 安藤は苦笑いする。

 永遠の二番手宣言。

「…好きなんだ。美咲先輩の事。」

「…さぁ?」

 どっちなんだ、いったい。それよりも、寝かせてください。お願いします。

「秀太、お前好きな人いる?」

 僕は…もちろんいますけど。

 僕の大好きな眼鏡さん。

 あぁ。早く会いたいな。

「何だか、ムカつくな。何だ、その幸せそうな顔は。…秀太、誰か付き合ってる女がいるのか?」

 えっ。付き合う?あー、付き合えたら幸せだなぁ。デートして、食事して、手をつないだり、映画みたり、本が好きなら図書館もいいかな。

 一人、妄想に浸る。

 僕の部屋でも、眼鏡さんのマンションで一日映画鑑賞もいいな。で、眼鏡さんとソファでイチャイチャしてみたり。

 あ、そのままエッチしちゃったり。

 ヤバイ。ちょつと、下半身が反応しだしちゃったよ。

「…俺、けっこう真剣なんだけど。美咲先輩の事。」

 安藤はしみじみ告白する。

「こんなに、好きなのに。セフレって…すごく、寂しい。」
 
 缶コーヒーを一気に飲み干す。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ