君がいるから~Sweet Life~
第5章 t
「わ…っこら!二宮!」
こいつが酔うと、違う意味で色々ヤバイ
俺は慌てて、二宮から缶を取り上げた
「おーい…」
けれど、それは既に空っぽで
「もう1本」
グイッと手の甲で唇を拭うと、そのままその手を
俺に伸ばしてきた
「…やめとけって」
伸ばしてきた手を取って、下に降ろしたら
…また、みるみるうちに目が潤み始めて
「櫻井さぁん…っ!」
もう、何が何だか分からなくなってきた
「翔ちゃん、ビールは?」
「飲ませるな、マジで」
へらへら笑う智をちょっとだけ、睨み付ける
「へーい、すいませーん」
これっぽっちも気持ちの入っていない言葉を返した智は、処理が終わったのか
いそいそと片付けを始めた
再び沈黙の、二宮の背中を擦る
雅紀のアホ!
一体何をやらかしたんだ
小刻みに震える二宮がやけに小さく見えて
俺は、庇護欲を駆り立てられていた
庇護欲だよ?
あくまで、…庇護欲
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