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奇っ怪談 猥猥談

第7章 きさらぎ駅的体験

終着駅に着いたが、そこが本当に終着駅か注意深く確認したら、間違いなく終着駅だ。
寒くない、暑い。人々も生気がある。

よかった、得体の知れない闇の世界から脱出できたんだと、折り返しの電車に乗って1駅、下車駅に着いた。

下車駅であることをよく確認して降りたのだが、様子がおかしい。下車駅であることには間違いないのだが、暗い。夜だから暗いのは当たり前なのだが、いつもよりもどんよりと暗い。それに寒い、スゴく寒い。道行く人も蒼白くて生気がない。

なんてことだ、下車駅が闇に呑まれてしまっていたのか。シャドーラインに墜ちてしまったのか。もしかすると、さっき電車が停まったのは、闇に呑まれた下車駅だったのかも知れない。

暗くて寒いが下車駅であることに間違いはない。どこかに迷い込んだら終わりなので、風景をよく確認しながら、いつも買い物に寄るスーパーに行った。

スーパーに入ると明るいいつもの店なので安心した。寒さはなくなって、暑いので、店内の冷房が心地よい。店内の客や店員には生気がある。

買い物をして恐る恐る外に出てみると、よかった、いつもの見慣れた夜の街だ。
そして無事に家に帰ることができた。

あのスーパーが闇の世界と元の世界の境界にあって戻ってこれたのだろうか?

さっき電車が停まったのは本当に闇に呑まれた下車駅だったのだろうか?それとも全く別の駅?
あの時に降りてしまったらどうなっていただろうか?

そう考えると恐ろしくなったので酒を飲んで寝た。

それから数日後にちょっとした事件があった。
某駅に着くと目的駅に着いたのをぼーっとしてて気づくのが遅れたのか、若い男が急いで降りようとして盛大に転んだ。

額をぶつけて血が出ているのに、嬉しそうに笑ながら小躍りして歩いて行った。
とてもまともな人間ではない。何かに憑りつかれているのだろうか?

もしかしたら闇の世界に行った時と同じ列車なのかも知れない。
列車の中には魔物が棲みついているものがあって、様々な怪奇現象を引き起こしているのかも知れない。



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