アップルパイと君の隣で
第3章 お泊り会
「先輩」
「何?」
「呼んでみただけです」
「あっそう」
「素っ気ないですねぇ」
別に普通だと思う。
「あんたに優しくしてどうすんのよ」
「そうですね。でも、先輩は素っ気なくても優しいですよ」
「...」
意味不明だ。
この子の思考はいつも分からない。
「言っとくけどこれが素の私よ」
「本当、普段へらへらしてる先輩からは想像もつきませんよね」
そう言った佳奈は「疲れませんか?」続けてそう尋ねた。
私が本当の自分を周りに見せていないのは分かっているつもりだ。
取り繕って弱い自分を隠して誰にも嫌われないように。誰にでも好かれるように。