アップルパイと君の隣で
第3章 お泊り会
「あんたは食べないの?」
自分だけ食べているのがしのびなくて声をかけた。
「いいんですよ。先輩の為に作ったんですから」
「だーめ!朝ご飯食べないと体に悪いって言ったのはあんたでしょ」
「いいですって。私は先輩を見てるだけでお腹いっぱいですし。先輩の分しか作ってませんから」
「ほら、あーん」
「なっ!//先輩/////」
私は卵焼きを1切れ箸で掴むと佳奈の口に持っていく。
「ほら、食べないの?」
「ずるいです...」
佳奈は頬を赤く染めるとその小さな口を開き卵焼きを食べる。
「甘い...」
心底幸せそうな顔をしていた佳奈が顔を歪ませた。
「あんた、甘いの駄目だったっけ?」
以前から甘いものも普通に食べていた気がするのだが。
「いえ」
甘い卵焼きが駄目なんだと言いたげな様子である。
自分で作っておいて不思議すぎる。
「やっぱり先輩の好みを理解するのは大変そうですね」
佳奈は難しそうな顔をした。