アップルパイと君の隣で
第7章 後輩の幸せ
「愚問ですね。私は愛されることに興味はありませんよ。愛する人を愛し抜きたいです。」
やっぱりだ。
「あんたの言ってるとこは理解出来ない」
私は嫌われたくないし、愛されたい。
ー私は欲張りで全部が欲しい。
「だから先輩はずるいんですよ。とっておきの1番だというのに先輩はそれだけじゃ満足できないんですよね」
私は何を求めているのだろう...?
「誰かを強く愛することが必ず幸せになるとは限らないわよ」
少なくとも私は。
「それは...先輩の体験談ですか?」
佳奈の考えが分かればと思ったが、やっぱり駄目だった。
それは私にはどうやったって当てはまらない物で、私と佳奈はこれ以上ないくらいに真逆だ。
決して交わることの出来ない人種でしかない。
「...どうだっていいでしょ」
私は佳奈と同じ方法では全く幸せになんてなれなかったのだから。
「...そうですか」
私の愛した人はもう何処にもいないのだから。