アップルパイと君の隣で
第8章 初めてのケンカ
「美味しくなさそう」
完全に失敗作。
焦げていない分さっきよりはましか。
食べ物には見えるし...
だんだんと基準がおかしくなってきている気がする。
ピーンポーン
そうこうしているうちにチャイムが鳴った。
最悪...。
「いらっしゃい...」
私はおずおずと玄関のドアを開ける。
「おじゃまします」
私とは対照的な笑顔の光がやってくる。
「ごめん!光。実は仕事が長引いちゃって晩ご飯作れてないの」
今日は外食にしませんか...?
とても食べられるような物はないです。
「え?そうなんだ...」
「うん...。時間も時間だし今日は外食にしない?」
やっぱり私には料理は向かなかったみたいです。
「分かった。出かけようか」
嫌な顔一つしない光に申し訳なさがつのった。