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キミのとなり

第13章 きづいてよ

うとうとしてた。

最近の気持ちのいい気候にすっかりやられっ放しで暇さえあれば夢の中…

下手するとヨダレ垂らしてるしね。
しょっちゅう。

今日も楽屋の机にかた頬つけて、ほんのちょっとだけのつもりで目を閉じた。

待ちが長くなりそうだから…って、さっきスタッフさん言いに来たし大丈夫。
人が出入りしたり話し声が遠くから聞こえてきたり、それもいいBGMっていうか。
シーンとしてるより雑音がしてる方がかえっていいんだよね。
ほら、小さい頃、風邪で寝てる時とか母親が様子を見にやって来て身の回りの世話をしてるのが分かったり、遠くでご飯の準備をしてる音とか…

心地いいんだよねー。

結構 寝た?って少し目を開けたら、背の高いひょろっとした男の人が目に入った。
その人はなにやら作業をしてたけど俺の起きた雰囲気に気づくと少し離れたとこから俺の顔を黒目の多い瞳で覗き込む感じで見て…

ニコッと微笑って俺の視界から消えた。

俺は半分くらいまだ夢の中で。

可愛い顔してたなぁ。

なんてぼんやり思ってもう一度、目をつぶった。

次に目を開けた時はスタッフさんが打ち合わせって呼びに来た時で。

周りを見渡して、さっきの人が居ない事に少しガッカリして。

あれ?

俺の肩に俺のじゃないパーカーが掛けられてた。



さっきの人が?

スタッフさんに聞いてみたら分からないみたい。

俺が楽屋から出る時にマネージャーが来たから聞いてみると、

「あ、多分あのスタイリストの人かな。
なんていったっけなー。」

ってブツブツ言って、

「後でまた来ると思います。」

って。

「そっか。それならいーや。後で来たら教えて。」

俺はパーカーをその場に置く気になれず悪いと思ったけど袖を通し楽屋を後にした。

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