出会い系な日々
第4章 東京の佳奈・再会
バスターミナルが近づくにつれ、腕を掴む力が強くなっていく
腕より胸が痛い
「なんか食べる物は買わんでいい?お腹空いたんちゃう?」
なんとか泣かさない様に佳奈の気を散らそうと話しかける
涙は止まらないけれど
「うん…サービスエリアで何か買う…」
「そっか…大阪はどやった?楽しかった?」
「うん…」
あっ、余計なことを言ってしまった
「良かった♪なら泣いたらあかんで?笑ってバイバイしよ」
次々に涙が溢れる佳奈に無理なことを言う
少しでもその涙を止めたかった
じゃないと罪悪感に耐えられなくなりそうで
やがて佳奈の乗るバスが到着し、乗客達が次々に乗り込んでいく
佳奈は俺の腕をつかんだまま動こうとしない
「じゃあ気をつけ…」
と言ったところでいきなりドンと衝撃が
佳奈が俺に抱きつき、胸に顔を埋めて大泣き
「帰りたくない!」
恐らくずっと言いたかった言葉だろう
ここで俺も限界だった
感情が抑えられなくなり目がウルウルし始める
でも涙を流すのは必死で堪えた
なにやってんねやろ…こんな純粋な子に半端な事して…
自己嫌悪の塊、涙で誤魔化してる気さえする
でもすぐ回りの視線に気づき我にかえった
佳奈はお構いなく大声で泣きじゃくってる
言ってあげたいと思いながら言わなかった言葉
「またすぐ会えるって」
何度も喉元まで上がってきてはグッと飲み込んだ
「ほら、もう行かんと…来てくれてありがと…楽しかったで♪」
佳奈は黙って俺にキスをするとこっちを一切見ずにバスへと乗り込んだ
これが佳奈との最後のキスになった