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出会い系な日々

第5章 東京の佳奈・別離


もう肉体、精神共に限界フラフラ

家に着くなりベッドに倒れこんだ

「はぁ〜寝れる〜!」

一人のベッドがたまらなく心地いい

そのまま意識を失い思いっきり爆睡

自分でイビキかいてるのが分かった




目が覚めると部屋が薄暗い

明け方かと思ったら夕方だった

眠ってる間は全てを忘れられたのに、起きた途端に佳奈を思い出しす

「はぁ…」

終わりにしなきゃいけない

寝起きで重い頭がさらに重くなった

問題はどのタイミングで別れを告げるか

今すぐ言えばこの大阪旅行全てが嘘になる

それはあまりに酷だし俺も全てが芝居な訳じゃない

ただ今までみたいな先延ばしだけはやめようと誓う

その場しのぎの誤魔化しでは同じことの繰り返しだ




その日の晩、いつもの様にパソコンを起動させて佳奈とチャット

「いっぱい泣いて困らせてごめんね」

佳奈は最初に謝ったあと、ハイテンションで大阪での思い出を語った

佳奈との会話はとても楽しい

呼吸が合うというか、返して欲しいセリフをテンション高く返してくれる

こんな気持ちの良いツッコミを出来る子は大阪でもそういないだろう

この関係を大切にしたいが故にハッキリさせられない、でも佳奈の涙をあれだけ見てはもう許されない

この二つの思いが交錯したまま時は過ぎて行く

気がつけば6月が終わろうとしていた

次第にパソコンに向かうのが辛くて徐々にチャットの回数が減っていく

いつ切り出すか

それをずっと心の片隅に潜ませながらの会話はとても消耗するから

でも、とうとう別れを伝える時が訪れた

「7月に大阪に行く!」

6月も終わろうとする頃、いきなり佳奈は言い出した

パソコンの前で固まる俺

今だ、今が言う時だ

今言えないとずっと言えない

佳奈と知り合ってからの記憶が蘇り、言われた時の佳奈を想像すると胸が苦しくなる

でも言わなければいけない

言えと自分に言い聞かせた

俺は覚悟を決め、佳奈にとってはナイフに等しい言葉を打ち込んだ

「いや、もう会わない方がいい」



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