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レット・ミー・ダウン【ARS・NL】

第3章 ブラックコーヒー【和也】

「お弁当、美味しかったデスヨ。」

「うん…。」

「ハンバーグも美味しかったデスヨ。」

「それ、冷凍食品…。」

和也は、私の髪をなでた。

「最近の冷凍食品はすごいデスネ。あと、ポテトサラダも。」

「それ、スーパーのお惣菜…。」

「ククッ、どこのスーパーデスか? また買って来てくださいネ。」

和也は、泣きじゃくる私の鼻をティッシュで拭いた。

「ホント、○○は手がかかるお嬢さんだコト。」

和也は、そう言うとわたしの頬を両手で包み、優しくキスをした。


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「あー、もうこんな時間! 和也、戸締りお願いね!」

「ハイハイ、あと10分早く起きればいいのに。」

私は鞄をつかんで、靴をはく。

「コーヒー、ダイニングテーブルの上に用意してあるからね!」

「了解。」

私は駅まで走って、何とかいつも電車にすべりこんだ。

「間に合った…。」

あれから、毎朝の習慣がひとつ増えた。

和也のマグボトルに、毎日コーヒーを用意する。

『さすがに毎日お弁当は無理だケド、コーヒーなら持って行けますヨ。』

和也は、こう続けた。

『その方が、コーヒー代が浮きますからネ。そうそう、ワタシの分はブラックでお願いしますヨ。』

だから、私は毎朝2本のマグボトルを用意する。

寝坊しても、寝癖がひどくても。

倹約家で手がかかるお坊ちゃんのために、毎朝ブラックコーヒーの入ったマグボトルを用意する。

砂糖の代わりに、ほんの少しの愛をプラスして。

【ブラックコーヒー・和也】


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