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レット・ミー・ダウン【ARS・NL】

第11章 サイコロ

私は、なにがなんだかわからなくなった。

つい昨日までは、サイコロを振るたびに彼らと楽しい時間を送っていたのに。

頭がパニックのまま、出社した。

オフィスに入ると、先輩がデスクの荷物を段ボールに詰めていた。

「先輩、どうしたんですか!?」

「ああ、急に中国転勤が決まってね。明日発つよ。」

「そんな急に?!」

「中国支店でトラブルがあってね。以前から打診はされてたんだけど、これを機に行くことになったよ。」

先輩はバタバタと社内の荷物をまとめて、昼過ぎに帰って行った。

「内覧会、しっかりやれよ。大丈夫、お前なら。」

そう言い残して。

どうして?

どうして急に彼らが私の周りからいなくなるの?

私は頭を抱えた。

その時、マジックバーのマスターの声がよみがえった。

『5の封印解く時に、一緒に0の封印も解いてしまいましたヨ。』

それってどういうこと?

確かに、始発のホームで出たサイコロの目は0。

私は、残業を終えるとかけ足でマジックバーに向かった。

表通りを曲がった路地にぽつんと建つ、ツタのからまった小さな建物。

「嘘でしょ…。」

路地を曲がると、そこには小さな空き地が広がっているだけだった。

【サイコロ】
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