
天然執事はいかがです?
第2章 菜月の日常
始業式は教頭と校長の滑舌の悪さに全校が笑いを堪えた。
はっきり言って、何を言っているのか、全部を理解出来ているのは話していた本人だけだろう。
担任の長いLHRも掃除も終わり、放課後になった。
今日からある程度の部活の練習が再開する。
「舞弥、部活は?」
女バスの練習に行かない舞弥に私は訊いた。
「あぁ今日?今日はタティが体調悪くて帰ったからナシだってさ」
「ふぅーん…」
タティとは英語の基礎組担当(応用組は私達の担任の松ちゃん担当)・男女バスケ部の顧問の20代ピチピチの舘山先生のこと。
舘山の"た"にteacherの"ティ"が合体し、約全校半分の生徒達にタティと呼ばれ、親しまれている。
顔は女子生徒曰く、イケメンだが、去年の文化祭での先生カラオケに出場し、あまりにもひどい音痴な歌を披露してくれた。
何もすることがなかったので、私は何となく携帯を開いた。
「着信一件…?」
「誰々?」
舞弥も菜月の携帯の画面を覗き込む。
「爺やからだ」
「藤原さん?」
「うん」
舞弥は何度か家に遊びに来ているので、爺やとは顔見知りだ。
