天然執事はいかがです?
第17章 家族
一年後――……
3月の卒業式を先週終え、今の私は純白のウェディングドレスに身を包まれている。
胸は緊張か不安かよく分からないまま式の直後もずっと高鳴ったままだ。
ウェディングドレスの裾を友香さんと南さんに持ってもらいながら、有斗さんと共に歩く。
ブーケトスで諒兄が作ったブーケを青空に放った。
ブーケを手にしたのは、舞弥だった。
舞弥は嬉しそうな顔でブーケを上に持ち上げ、私に振っている。
隣にいる俊くんにも嬉しそうに笑っている。
別にブーケを受け取らなくても、舞弥の結婚はもう決まっている。
ジューンブライドがいいと言ったようで、二人とも大学を卒業してから式をあげると言っていた。
栄理子さんや爺やは嬉しそうにしているが、嬉しさのあまり涙を流していた。
母さんは満面の笑みで、父さんは切なそうにしていた。
あんな頑固な父さんでも娘をとられるとなると、あんな顔もするんだな…
式の前、父さん達に花嫁みたいにありがとうと言ったら泣かれてしまった。
言ったらマズかったのかな?
そんなことも思いながら、私は有斗さんとゆっくりと着実に歩んでいく。
決して緩やかな道ではない。
それでも二人で乗り越えて行くと決めた。
私達の新しいページを開く――………