天然執事はいかがです?
第4章 意識の相違
暗い自室のベッドに私は横たわっていた。
いつもならすぐ寝れるが、寝られない理由がそこにはあった。
「…アルトさん」
「はい?何でしょう?」
「逆に寝れないから、自分の部屋に戻っていいよ?」
……そう、アルトさんがいるから私は眠れないでいた。
「ですが、お嬢様が就寝されてから、ローソクをお消し致しますので……」
「いや…ホントに大丈夫だよ?」
「そうですか?」
ご不満の様子のアルトさんは眉を顰めた。
「うん。おやすみなさい」
諦めたのか、アルトさんはローソクの灯りを優しく吹き消した。
コツコツと歩く音が暗闇の中聞こえ、ドアを開けたのか、廊下の明かりが部屋に漏れた。
「おやすみなさいませ、菜月お嬢様」
そう言ってアルトさんは私の部屋から消えた。
そして私は小さくため息をつき、口まで布団を引っ張り、身を丸めた。
アルトさんがいて、逆に寝れないからとは言ったものの、アルトさんがいなくなってからも眠れなかった。
変にキンチョーしているのかもしれない。
爺や以外の専属執事は初めてだし、アルトさんってなんかこう………
色々と考え込む内に、私は意思とは裏腹に眠ってしまった。