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ただあなただけを見つめる

第2章 傷だらけ





私はさっきの路地に向かった。



「……いた。」



蹴られていた男は暗い路地に倒れていた。



駆け寄り、身体をゆする。



切れて血が出た口角が何とも痛々しい。



「ちょっと、大丈夫?」

「……。」



返事がない。



まさか…死んでる!?


私は彼の心臓に手を当てる。



――ドクン、ドクン…


小さく波打つ。



よかった。


気を失ってるだけみたい。



私は意識のない彼をゆっくりと起こし、


「よいしょ…っと」



私より大きな身体を背中に担いで自宅に向かって歩いた。



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