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ただあなただけを見つめる

第2章 傷だらけ



―――――…




自宅に帰りベッドに寝かせ、手当てをする。




「ん……」

「あ、起きた!」



しばらくすると、彼が目を覚ました。


私は思わず笑顔になる。




彼は目を丸くしてバッと起き上がった。



「ここどこ……っイテテ」


蹴られたお腹を押さえて苦しむ。


「ちょ、まだ動いちゃダメだって!私の家だから安心して。」


慌てて私は彼をまたゆっくりとベッドに倒した。




彼は不思議そうに私を見ていた。




「……あんたが助けてくれたのか?」

「まぁね。もうちょっとであいつらに連れて行かれるとこだったんだから!」




薬箱をパタンと閉じて、「はぁっ!」とため息をつく。


なんだかまた腹が立ってきた。



「何であんなことになってたの?あんな大勢相手にして、敵うわけないじゃん。」

「ムシャクシャして喧嘩吹っかけたら相手が悪かったんだよ」



フイッと私から顔を背ける。




呆れた…


これだから男っていうのは!




「あのまま見殺しにすればよかった!もっと自分を大切にしなさいよね!!」



バシッ!!


「イッテェ!」



頭を押さえ、こちらを見る。


私は「何よ!」と睨み返した。




これが私、矢沢 夏帆と
彼の出会いだった―――




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