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問題児とオタク少女

第8章 大きく進展?!二人の恋ー。

「私は悠太に会いに来たの。」

ど、どういう…こと…

「悠太が大好きなんだ。ずっと想ってたのに、気づいてくれないんだもん。」

…いや違う。

気づいてた。

でも、わざとスルーしてた。

俺は、さっちゃんが好きだったから。

富士崎に聞いてしまったら、何かが壊れてしまう気がして。

「悠太。付き合って。」

「……」

「ねえ悠太。」

「……」

「…っお願い!」

俺は、何も返すことができなかった。

すると、富士崎はさっちゃんのメアドが書かれた紙を手にした。

「これ。誰のメアドかしらぁ?」

分かってるだろ。

富士崎。

分かっててわざと言ってるだろ。

そういう奴、俺嫌い。

「それは…美優のメアドだ。貰えたのが嬉しすぎて、転げ回っちゃったよ。」

言った瞬間、富士崎はその紙をビリッと破った。

目の前で小さくなっていく紙くず。

こんな状態じゃ、メアドなんて読めないだろう。

「富士崎…なんでこんなことするんだよ…」

怒りや悲しさが入り混じった声が出た。

「なんでって…悠太が好きだからに決まってるじゃない…!なんで…は、こっちの台詞よ!どうして、あの子は良くて、私はダメなの?ねえ、悠太!」

答えは決まっていた。

「あいつは、俺の運命の相手なのかもしれねぇな!」

そう言って教室を出た。


シーンと静まり返った教室の中。

富士崎真衣は、一人ただ呆然と立ちすくんでいた。





「メアド、破られちまったな…」

帰り道。

歩きながら、呟いた。

すると、後ろにいたらしい 海崎 光が聞いてきた。

「誰のメアド?美優の?」

「ああ。さっちゃんの。富士崎に破られちまってさ。」

海崎はやれやれというように首を振り、こう言った。

「もう告白すれば良いのに。そうすれば、富士崎は来ないだろ。な!」

は?

呆れて物も言えないとは、こういうことだと、改めて知った。

訪れる静寂。

海崎はニコニコ…いや、ニヤニヤしてこっちを見ている。

この状況についていけず俺はただ自分の家へ向かったー。







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