飴と鞭と甘いワナ
第5章 scene Ⅴ
ニノから送られて…
そう 文字通り
"送られて"。
決して
"贈られて"
じゃないのは請求書の額見たから。
糠喜びさせやがって。
しかも身の丈ピッタリなのがこれまた腹が立つし。
いつ採寸したんだよ?ってくらいにジャストサイズ。
不意に。
身体を這うニノの手の触感が…。
ギャーッ 止めてーっ!!
頭を左右に振り撒くって脳内再現フィルムを遮断する。
気がつけば約束の時間まで15分しかない。
クラクラしたまんま、覚束ない思考と足付きで俺は家を飛び出した。
*
ニノが指定した3時に一分前に到着。
キョロキョロしてたら後頭部をど突かれて。
見れば
「……よっ!」
片手を挙げたニノ。
アノ日以来 顔を合わせてないから何か……うん。
そんな俺の挙動なんか何処吹く風なニノはサッサと駅構内へと入ってく。
「待ってよ」
肩越しに俺を見て
「……行くぞ」
それでもちょっと足取りを緩めて、隣に並んでくれンが嬉しくて。
この際一緒なら何処でもいいやって。
吊革に掴まりながら隣の横顔を盗み見ていた。