飴と鞭と甘いワナ
第11章 3匙め
想像もしなかった相葉さんの過去
それを他人事みたいに話していた相葉さんが
俯いてしまった俺の頭をぽんぽんと叩いた
「謝んないでよ。別に今更どうこう思ってないから」
“ただ…“
相葉さんが一瞬だけ泣きそうな顔をして
「何でだか、手離せないんだよ。これだけは」
“おかしいでしょ“
そう言って無理に笑顔を作るから
…抑えてた涙が滲んで来てしまった
「もー、二宮さんが泣くなよ」
相葉さんが俺の頭に乗せた手を移動させて、目尻を親指で拭う
「だって……」
「マジで大丈夫だから。…それに、こんな話したの二宮さんが初めて」
これ以上相葉さんを困らせたくなくて、キュッと唇を咬んでから顔を上げた
「嘘つけ。彼女さんがいるじゃないですか」
わざとそんな風に言って見せたら
「…あいつには言ってないよ」
相葉さんの視線がはっきりと俺を捉えた
「え…」
「マジで、二宮さんが初めて」
少し顔を赤くして、ポリポリと包帯の隙間を指で掻いている
「…参ったな」
相葉さんが、俺から目を逸らして
ポツリと呟いた