飴と鞭と甘いワナ
第12章 4匙め
A side
出張だったんだってさ。
スマホの電源を切ってたろって詰られた。
ま、何だかんだで誤解?蟠(わだかま)り?も解けたから一件落着 終わり良ければ全て良し……ってワケでもなかった。
正直 来てくれるか 来てくれないかを自身の中で賭けてた。
俺の中じゃ良くてイーブン。
自分が反対の立場なら二の足踏むだろう"お願い"だから。
次の日、誰も来ないまま面会時間終了の"蛍の光"が無情にも鳴って。
"まさか"
一日めにしてブッチされるとは。
こんな早々と賭けが賭けとして成立しない嫌なフラグたつなんて…火を見るより明らかな結果に落胆が大きかった。
自分から連絡手段を断ったって云うのにな。
だから、今日二宮さんの顔を見た途端に色んなモノが綯い交ぜになって。
込み上げてくる涙を堪えるのが精一杯で物言えずの腑抜けた俺を抱き締めてくれた彼。
どうしようもないくらいに跳ねた心拍数。
そんな必死に涙を我慢してる最中、下半身が疼いて硬くなろうとしてるのに気づいた。