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飴と鞭と甘いワナ

第12章 4匙め


「どちらも、傷付かないなんて無理な話じゃん」
「相葉さん……」

「無理したって、そんな関係は続かないと思うよ?…だったら、結婚前で良かったんじゃないの?」

心の何処かで期待してた言葉を、相葉さんがあっさりと言ってくれた

“無理したって続かない“ …そう、言って欲しかった

誰かに “俺の選択は間違えてない“ って言われたかったんだ

視界が滲む

嬉しいのと、気が抜けたのと
…全部話して “終わったんだ“ と言う安堵の気持ち


「泣かないでよ…」
「泣いてない」
「そんなに目が潤んでるのに?」

分かってる
相葉さんがわざと揶揄うように言ってるのは
…俺が落ちないようにしてくれてるのは

「…これはゴミ!」

だけど素直になんてすぐにはなれなくて、そんな相葉さんの優しさを無駄にしてしまう

「ゴミでも何でもいいからさ、涙拭きなよ」
苦笑した相葉さんが、テーブルのティッシュを差し出して

グスグスしたままそれに手を伸ばした時

その伸ばした手を相葉さんが掴まえた

「相葉さん?」

「…泣くなって」


相葉さんの顔が近付いたと思った次の瞬間

…俺の唇に、相葉さんのそれがふわりと重ねられた

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