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飴と鞭と甘いワナ

第12章 4匙め


目につく “彼女の物“ をビニールに入れてから、改めて相葉さんの前に腰掛けて

「俺の話…聞いて貰えますか?」


そのつもりで今日、待ち合わせまでして貰ったけど

どのタイミングで話して良いか分からなくなってたから
むしろ声を掛けてくれた事が助かったと思った

「勿論、…入院中に俺のワガママ聞いてくれたからね、
今度は俺が二宮さんに付き合うよ」

そうやって間髪を入れずに相葉さんが即答してくれたから

…小さく息を吐いて

愚痴交じりだけど自分の事を、ポツリポツリと話し始めた





*****

「…最低でしょ?
彼女の、女なら当然見る夢を鬱陶しく思ったんです」

別れた事に後悔はない
だけどもっと何か良い方法はなかったのか、今更ながら考えてしまう

俺を殴った後、彼女は崩れ落ちるように泣いていた

彼女の母親は一緒に俺を責めたのに

娘を溺愛していた筈の父親が、何も言わずに俺の言い分を受け入れた事がむしろ苦しくなった

多分それが、父親なりの俺への制裁なんだと悟った


「でもさ、二宮さんはけじめを付けたんでしょ」
黙って聞いてた相葉さんが、ゆっくりと口を開いた






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