飴と鞭と甘いワナ
第13章 5匙め
A side
…………俺 何やった?
手のひらの中には二宮さんの俺より一回り小さな手。
口唇に残る触感は………
「……わ、悪い…ゴメッ」
「悪くない…」
"…悪くない…ですか…ら"
被せた声が小さくなって
"……謝んの…無し"
俯く二宮さんの姿にパニくった俺の頭ン中にはヤラかしちまった後の気不味さだけが渦巻いてて。
慌てて離したその手を逆に掴み返された。
まるで
"離さないで"
そう言われてるみたいで。
「えっ?………うわっ!」
咄嗟のコトに俺はバランスを崩すと物の見事に椅子ごとフローリングへ横倒しになった。
「相葉さん!!」
身体を強かに打ち付け、痛みに顔を顰める俺の傍に二宮さんは膝を折り
"……相葉さん"
俺の名前が混じった吐息。
その吐息を漏らす腫れた口元を親指でソッと拭う。
"こんなに腫らして…切れてンじゃん"
傷心の相手にいきなりキスするなんて…何やってンだよ 俺は。
ったく…最低最悪な大馬鹿野郎だ。